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息継ぎする暇も惜しむように、聡太の話は止まらない。
「新太、居留守使いましたからね。ハッキリいって、共学でちょっとモテるからって人生なめていませんか? 男子校にいる俺からしたら、ふざけんなって感じですよ。仕方ないから俺が女の子たちの応対をして、チョコも全部食ってやりましたけどね。……さくらさん、そこ、笑うトコじゃないですから!
そんな奴がですよ? 彼女を作るなんて衝撃ですよ。ゲームしかして来なかった超ゲームバカの癖して、さくらさんみたいな美人をいきなりゲトするとか、あり得ない。しかも好き好きモード全開の、独占欲ダダ漏れ、ベタ惚れ状態ですからね。あの新太が恋愛で完全ロックオンなんて……」
その時だった。いきなり聡太が、いてー! と叫んだ。新太がいつの間にか後ろにいて、聡太の耳を思いっきり引っ張ったのだ。
「いってぇ! バカ新太! なにすんだよ!」
「誰が超ゲームバカだって? お前しゃべりすぎなんだよ。喧嘩売ってんのか?」
口をへの字にしてそういう新太に、聡太が口をパクパクさせてほらねと目配せしてくるから、さくらは苦笑するしかない。
「よーし、喧嘩するならストⅤで勝負だ、かかってこい!」
いきなり立ち上がって、顎をつきだし、新太にひと指し指をびっと向けた仕草が妙に芝居がかっていて、さすがの新太も吹き出した。
「……お前ってほんと、相変わらずバカだよな」
「ふざけんな。本物のバカにバカって言われる筋合いないわ! プロゲーマーに勝って、学校で自慢してやるっ」
新太は盛大にため息をついたけれどその目は、なんだか楽しげだった。
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