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もっと居てよー! そう引き留めてくる聡太を振り切り、新太はさくらを連れてガレージに向かった。クリニックと反対側が車庫スペースになっている。
車はニ台。一台は大きめの白い国産セダン車、もう一台はさくらがあまり見たことがない形状の車で車高が低く、しかもオレンジ色だ。新太は迷いなくオレンジ色の車のドアをあけてさくらを助手席に座らせると、運転席にすわった。シートに座ると想像以上に目線が低い。地面が近い。
「この車、外車?」
新太は楽しそうに微笑んで首をふった。
「れっきとした日本車でGTRっていうスポーツカー。親父の趣味なんです。母親から、燃費悪いし気軽に乗れないから軽に替えろって散々言われているのに、それだけは親父が絶対譲らないんです」
エンジンをふかすとびっくりするほど音が大きくて、地鳴りみたいな震動が突き上げてくる。
「普通の車じゃない感じ」
さくらがそういうと、新太も笑いながら頷く。
「うん、この車パワーがめちゃくちゃあるから。俺、内部推薦で受験がなかったから十八になってすぐ免許とって、その日から毎日このGTRを乗り回してたんです。親父はすごく嫌がったけどね。ゲームのトレーニングに疲れたらこれ運転するみたいな感じで、夜中、首都高を走りまくってました。あ、俺、一度もぶつけたことはないから安心してください」
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