第二十一章 ふたりで

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「さくらちゃんが側にいることで、新太の集中は乱れたりしない。むしろ、さくらちゃんを全面的に信頼しているからこそ、側にいてもらえると安心してトコトン本気で集中できる。だから遠慮なんてしなくていいんだよ?」 「神谷さん……」  「それだけ。じゃあまたね」  表情を崩し、いつもの親しみやすい笑みを浮かべたあと、また歩き出した。遠ざかっていく神谷の背中を見つめていたら、胸の奥に刺さっていた棘が、ようやく抜けた気がした。   (神谷さんにああいって貰えただけでも、ラスベガスまできた甲斐があったかもしれない)  さくらはうっすら滲んだ涙を指先で拭って微笑んだ。  
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