251人が本棚に入れています
本棚に追加
/253ページ
「さくらちゃんが側にいることで、新太の集中は乱れたりしない。むしろ、さくらちゃんを全面的に信頼しているからこそ、側にいてもらえると安心してトコトン本気で集中できる。だから遠慮なんてしなくていいんだよ?」
「神谷さん……」
「それだけ。じゃあまたね」
表情を崩し、いつもの親しみやすい笑みを浮かべたあと、また歩き出した。遠ざかっていく神谷の背中を見つめていたら、胸の奥に刺さっていた棘が、ようやく抜けた気がした。
(神谷さんにああいって貰えただけでも、ラスベガスまできた甲斐があったかもしれない)
さくらはうっすら滲んだ涙を指先で拭って微笑んだ。
最初のコメントを投稿しよう!