第二十一章 ふたりで

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「当たり前ですよ。言われなくてもそうします。俺、さくらさんと二人で食いたいし」  神谷が真顔で、こいつ本当にかわいくないよね? そう同意を求めてくるから、さくらも吹き出してしまう。 「でも明日さ、グランドファイナル終わったら身内で打ち上げするから、その時はさくらちゃんも来てね」 「はい。ありがとうございます」  さくらも笑いながら頭をさげる。神谷は新太に向き直った。 「じゃ、明日会場でな。今回も遠慮はしないから覚悟しとけよ?」  神谷はすっとプロゲーマーの顔になりクールに微笑んだから、新太も不敵に微笑む。 「もちろん。俺も全力でいきます。負けませんよ」    神谷が目を細めて笑った。 「さすがラブラブカップル。言うことが同じだし」  新太がえっ? と小さく言ってさくらをみるから恥ずかしくなって俯いてしまう。神谷はそんな二人を穏やかな瞳で見つめてから、じゃあなと去っていった。 「さくらさんも、大介さんに同じこと言ったの?」  さくらは照れたように頷いた。 「言っちゃった。新太くんも負けないって」  新太が目尻をさげて、くしゃりと表情を崩す。感情を隠さない、素顔の可愛さを全開にしている新太の笑みだった。それを見られるのはたぶんさくらしかいない。本人にかわいいというと怒るから、さくらは心のなかでその笑顔を堪能する。 「さっき、大介さんに言われたのは本当にそう」 「え?」  穏やかにそういう新太をみつめる。
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