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考えれば考えるほど、一番してはいけない時期に、一番想いが通じなさそうな相手に恋してしまったと、新太はため息をついた。
(思いきって告るとか)
たとえ振られてもスッキリするかもしれない、そう思ってみたりもした。
(イヤイヤイヤ。振られたら振られたでダメージが半端なさすぎて立ち直れないかも。授業は一年間一緒だから、会うたびに落ち込むよ)
すぐさまもう一人の自分が反論する。
さくらのことが頭から離れない。心を止められない。誰にもさくらを渡したくない。誰にも触れてほしくない。そんな想いが頭のなかをぐるぐるまわる。
さくらへの想いと独占欲は、新太の意志とは関係無く膨れ上がり、心を支配してしまいそうになる。とにかくこの無限ループをどうにかしなくてはいけない。
「今するべきことはトレーニング、だ」
自分の中で蠢くカオスに無理やり蓋をするように、声にだしていってみる。
対戦がはじまる前や劣勢に陥った時、動揺を抑えるために新太がよくやる自己暗示だった。声にだしてそういうと、心の揺れが多少マシになった気がして少しホッとする。
すぐにヘッドフォンを耳にあてる。コントローラーのうえに手を置き、集中するために目を閉じて大きく息を吐き呼吸を整えた。
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