第二十二章 未来を掴め

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(やっぱりこれが大介さん、だよな)  新太は苦笑して、横目で自分側の体力ゲージとEXゲージを確認する。EXゲージはフルだが、体力ゲージのドットは大幅に削られ残り少ない。ゼロになった瞬間ゲームオーバーなのだから、かなり不利な状況なのは間違いない。新太は吐息をひとつつく。 (だけどまだまだ。起死回生の一撃を決めればわからない!)  頭はちゃんと冷えている。瞬時にこれからすべきことをシュミレートする。勝利の鍵は、新太がどのタイミングでEXゲージを使った大技を叩き込むかにかかっている。しかも確実に相手に当てるためには至近距離でやらなくてはならない。もし不発に終わったら即自滅だ。  体力ゲージの差から、至近距離での戦いは圧倒的に新太が不利。ガードをしたとしても、すぐに体力を削られてあっという間にKOに持ち込まれてしまう。相手の攻撃を無力化できるブロッキング技術でかわして近づき、そこから大技を繰り出す。けれどそのブロッキングが至難の技だ。  神谷が技をしかけてくる発動エフェクトから、ブロッキングコマンド入力猶予は六〇分の一秒。正確に入力しなければ、硬直したまま生身をさらけ出して、カウンターを浴び一発KOだ。連続して成功させるのは、技術的にかなりの難易度を伴う。 (それでもやる。やれる!)  新太は乾燥した唇を軽くなめる。神谷のキャラクターの動き、リズムを穴があくほど見つめタイミングを見定める。 (よし今だ! 行け!)
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