エピローグ

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 強いて彼が以前と変わったところをあげれば、近眼が進んで、ゲームプレイ中と車を運転する時はメガネをかけるようになったこと。そしてもうひとつ。有名プロゲーマーとしてゲーム業界以外でも顔を知られるようになったことだろう。  五年前のEVC優勝を皮切りに、ニ年前にも再び優勝、その他国内外の大きな大会でも、たびたび優勝を飾るようになった新太は、一躍トップゲーマーに躍り出た。世界ランキングでも、ここ数年は必ずトップファイブに入っている。  esportsが脚光を浴びるのに比例して、実力プラスそのルックスも注目され、各種メディアに登場する機会も増えた。大学卒業後、専業プロゲーマーになることに新太はなんの迷いもなかった。  一方でプライベート、大学を卒業と同時にさくらと結婚するという計画は、なかなか簡単にはいかなかった。新太の両親は両手を上げて喜んでくれたけれど、さくらの父親が待ったをかけたのだ。  五年前にEVCで優勝して以来、父親の新太への見方は確かに変わった。ゲーマーとしては評価していたものの、いざ結婚となるとなかなか首を縦に振ってくれなかった。  プロゲーマーという世間一般では馴染みの薄い、かつ勝負事を生業(なりわい)とする男に、大事な娘を嫁がせることにためらいがあったのだろう。  それでも新太がそれくらいのことで諦めるわけがない。何度もさくらの家に通って父親を説得した。
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