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「うん、多分大丈夫。何も問題がなければ、遅くても七時前には帰れるはずだよ。新太くんは?」
「うーんと、今日はこれから昼過ぎまで仮眠して、それから運動しにジムにいく。その後いつものメンバーと一緒に池袋で練習会。でも早めに切り上げて帰るよ。今日こそさくらさんと一緒にたくさん寝たいから」
真面目な顔でそういう新太に、さくらはつい吹き出してしまう。それをみた新太が唇を尖らせた。
「さくらさんと一緒に寝られないのが、一番堪えるの! 今日は絶対同じ時間に寝る!」
駄々っ子のようにそういって、新太はさくらの首筋に顔を埋める。たまにこんなふうに甘えてくるのも、愛しくて仕方ない。
「かわいい」
ついNGワードを言ってしまってからハッとする。そう言われると新太はいつもほんの少し、機嫌が悪くなるのだ。けれどこの時ばかりはゆっくり顔をあげてニヤリと笑った。
「あ、ちなみに寝るとき、カワイくないコトするけどね?」
返す言葉に詰ったさくらの頬は、勝手に熱を帯びてしまうから。新太が勝ち誇ったように笑った。
「顔、赤いよ。やっぱり俺よりさくらさんのが、全然カワイイ」
負けず嫌いな新太が、こうやってちょっとした仕返しを仕掛けてくるのもいつものこと。
そういうところもカワイイと思うけれど、もう言わない。さくらは小さく笑うと、新太を見つめたまま彼の顔を引き寄せると、そのまま唇に自分の唇をそっと重ねる。
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