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「ああ。格ゲーは好きで結構やっていたし、大会も見に行ったりしていたから。最近は就活が忙しくて全然やってなかったんだけどね」
司はしばらくさくらを見つめたあと、ちょっと皮肉っぽい調子でたずねた。
「あいつに聞いてなかった? プロゲーマーって」
さくらはゆっくり首を振る。
「教えてくれなかった。何かやっている風だったから、聞いてみたんだけど、まだ中途半端だからおしえられないって」
「マジかよ。もうすでに有名ゲーマーなのにな。そういうストイックな感じ、プレイスタイルにも確かにでてる」
司はスマホをジーンズの後ろポケットにしまいながら嘆息するように笑った。
「カフェテリアで会ったとき、一年ボーズの癖して俺のことを睨むし、むかついたんだけど、なんかひっかかったんだよな。ジャニーズみたいな顔立ちに、あのキツイ感じの目つき。どこかでみたなあって」
負けん気を秘めた鋭いクールな瞳。ドキッとするほどまっすぐ司に突き刺さった。しかも顔をみれば明らかに年下で、幼なささえ残っていた。
なんなんだこいつ。
新太の第一印象はかなり鮮烈だった。それと同時に絶対どこかでみたことがあるとも司は感じた。
「昨日久しぶりに格ゲーしたとき、はっと思い出してさ。あれARATAじゃんって一人で叫んじゃったよ」
そうと分かれば、あの威圧感、雰囲気は不思議でもなんでもない。ARATAそのものだった。司は彼がプロとして格闘ゲームの表舞台にたち始めた頃から、絶対こいつは頭角を表してくる、そう思っていた。そういう雰囲気を最初からすでにもっていた。
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