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「俺、ゲーマーとしてのARATAのことはリスペクトしてるけど」
そういう司を、さくらが不思議そうに見上げる。
「あいつ個人はなーんか、むかつく! 生意気!」
「新太くん、全然生意気じゃないよ? いい子だよ」
きょとん、とした表情でそういうさくらを、やっぱりかわいいと思いつつ、なんとなく腹もたつ。
「いい子って……。見た目はかわいいけど、中身はそんじょそこらの男より、かなりハードに男だぞ、あいつ」
「そうなの?」
「あたり前だろ。プロの勝負師なんだぜ。お前、絶対泣かされるぞ?」
「泣かされるってどういうこと? 意味がわからないよ」
「つまり、俺にしておけってこと」
「余計意味がわからない!」
普段はあまりみせない、屈託ない笑み。そんな笑顔をさくらがみせるのも、ARATAの話題だからかもしれない。そうわかっていても司の心にその笑顔は沁みてしまう。
表面上は明るく笑いながらも、割りきれない思いを抱え、司は心の中でそっとため息をついた。
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