第五章 ARATA

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「俺、ゲーマーとしてのARATAのことはリスペクトしてるけど」  そういう司を、さくらが不思議そうに見上げる。 「あいつ個人はなーんか、むかつく! 生意気!」 「新太くん、全然生意気じゃないよ? いい子だよ」  きょとん、とした表情でそういうさくらを、やっぱりかわいいと思いつつ、なんとなく腹もたつ。 「いい子って……。見た目はかわいいけど、中身はそんじょそこらの男より、かなりハードに男だぞ、あいつ」 「そうなの?」 「あたり前だろ。プロの勝負師なんだぜ。お前、絶対泣かされるぞ?」 「泣かされるってどういうこと? 意味がわからないよ」 「つまり、俺にしておけってこと」 「余計意味がわからない!」  普段はあまりみせない、屈託ない笑み。そんな笑顔をさくらがみせるのも、ARATAの話題だからかもしれない。そうわかっていても司の心にその笑顔は沁みてしまう。  表面上は明るく笑いながらも、割りきれない思いを抱え、司は心の中でそっとため息をついた。
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