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痛みに似たせつなさがこみあげてくる。身体を支配する熱も加勢して、それらが理性の殻を突き破ろうとしているのを感じていた。けれど、全身気だるく頭もぼおっとしている新太は、それを止めることができない。
「スイマセン……」
「体調が悪いんだから仕方ないよ。中にはいって……」
さくらの少し掠れた声。気持ちが伝わらないもどかしさに突き動かされるように、さらに彼女を自分に引き寄せてしまう。
「そうじゃなくて……」
「え?」
「もう少し、このままでいてください」
強く、ぎゅっとさくらを抱き締めた。こめかみあたりに頬を寄せ、深く息を吐くと、彼女の黒髪が微かに揺れた。
心臓がドキドキして、このまま死ぬのではないかとおもうくらい速打ちしているのに、ずっとこうしていたい。心地いい。新太は思わず目を閉じる。
「さくらさん、……好き」
吐息をつくように、そうささやいた瞬間、さくらの背中が震えたのを手のひらに確かに感じた。
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