250人が本棚に入れています
本棚に追加
ガバッと起き上がり、思わず頭を抱えてしまった。
「ヤバイ。やらかした……」
誰に言うでもなく呟いて、盛大にため息ついた。
「絶対ドン引きされた……」
でも、と混乱した頭で考える。あの告白をした後も、さくらは新太を気遣ってくれていた。
「もしかして。俺の告白を受け入れてくれた、とか?」
そう独り言を言った口元が緩みそうになる。けれど、すぐにイヤイヤイヤと首をふる。それにしてはさくらの様子が普通過ぎた。
考えられるのは、告白をさらっとスルーされたか、もしくは声が掠れていたから、聞こえていなかったか。
どちらにしても恐ろしく悩ましい。
「はあああ……」
盛大にまた、もうひとつため息をついたものの、とりあえず喉が猛烈に乾いていることに気づいて起き上がり、飲み物をとりに冷蔵庫に向かった。
新太の部屋は1LDKで学生が一人で住むには十分な広さがある。けれど寝室にしている部屋以外は、ゲーム関連機器やモニターなどが雑に置いてあるから、あまり広くは感じられない。
リビングにつながるドアを開けると、灯りがつけっぱなしだった。電気の消し忘れはいつもよくやるので、たいして気にもとめずキッチンにはいる。
冷蔵庫を開けると、買った覚えのないスポーツドリンクのペットボトルと栄養ドリンクがはいっていた。
それから野菜たっぷりスープとあつあつ肉うどんとタグ打ちされたふたつ容器。そこには近所にあるコンビニのマークがあった。
(さくらさんが買って置いてくれたのかな)
最初のコメントを投稿しよう!