第七章 あふれる想い

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 新太の状態が落ち着いているのを確認してから、コンビニに買い物にいった。具合が悪くても食べれそうなもの、おでこに貼る熱さましシート、体温計、スポーツドリンク、風邪に効きそうな栄養ドリンク、ウェットティッシュなど。必要そうなものを買い込んで戻り、すぐに新太の様子をみる。  顔はやっぱり赤いものの、穏やかな寝息をたてている。ほっとして額にかかっていた前髪を横に流し、おでこに熱を覚ますシートを貼った。  長いまつげを伏せ、静かな寝息をたてている新太はこどもみたいで本当にかわいい。思わずさくらは微笑んだ。 (これなら大丈夫そうかな)  そっと寝室をでて、リビングにいく。ようやく落ち着いた気持ちで部屋を見ることができた。 (これが新太くんの部屋)  一般的な学生の一人住まいより広い。そしてシンプルだった。唯一、窓際にある外国製らしいソファーは大きくて立派だけれど、そのうえにはジーンズやシャツが脱いだままの状態で無造作におかれているから、妙に部屋に馴染んでいる。  主役は、部屋のまん中にどん、と置かれた大きな机と、そのうえにある大型ディスプレイ三台だった。部屋にはいると、まずそこに目が奪われる。その前にはゲーム専用シート。  机には絡み合うコードの束、さくらにはよくわからない電子機器、ノートパソコン、タブレット、ヘッドフォン、空のペットボトルが数本と、おにぎりやパンのフィルムの残骸などがのっている。
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