第七章 あふれる想い

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 男子学生の、というよりプロゲーマーの部屋だなとさくらは思う。新太は有名なゲーマーだという。あのめったに人をほめない司が、ゲーマーとしての新太を絶賛していたから、その世界では特別な人なのだろう。  最初に新太に興味をもったのも、彼のそんな才能の一端を直感的に感じたからかもしれない。 (でも今は……)  さくらはひとつ熱を帯びた息を大きくついた。腕時計で時間を確認したら、もう午後三時だった。簡単に部屋の掃除をしてから、買ってきたおにぎりを食べて、遅い昼食をすませる。  スマホを取りだして、企業からの連絡確認とスケジュールチェック、メッセージアプリにきていた友達からのメッセージに返信。そんなことをソファにすわってしばらくやっていたら、なんだか眠くなってきた。ソファの固さが絶妙で、すごく座り心地がいいのだ。 (寝ちゃだめ。ちゃんと起きてなきゃ。新太くんの様子も見に行かないと)  自分にそう言い聞かせる。けれど朝一番の授業のあと、新太のことが心配で気が張っていたことも重なった。急激に襲ってきた眠気とソファの心地よさには勝てず、さくらの瞼は勝手に閉じてしまった。  どれくらい時間が経ったのだろう。 「さくらさん………さくらさん……」  頭のなかに響いてきた新太の声にはっとして目が覚めた。目の前には、ちょっと泣きそうにもみえる表情をした新太が、しゃがみこんでさくらの足元いた。 「新太くん? ああ、ごめんね。わたし寝ちゃった?」  寝ぼけた声で、さくらは頬に手あてた。目の前にいる新太はとても困った表情を浮かべていて、声をかけようとしたら連続で咳こみだした。 「やっぱりまだ具合悪い? 大丈夫?」
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