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「行かないって決めたのは私。新太くんのせいじゃないよ? だからそれは本当に気にしないで」
「でも……」
「確かにご飯もたべないで三日連続で徹夜したら、風邪もひくよね。でもヤレっていわれても私なら絶対にできない。頑張っても一日でギブアップかな。それをやっちゃう情熱と体力がある新太くんってすごいと思うよ」
「さくらさん……」
新太はさくらをじっとみて、握っている手をさらに強く握ってきた。そのまましばらく黙っていたけれど、ゆっくり口を開いた
「俺、プロのゲーマーなんです。だから昼間学校にいっていたりすると夜しかトレーニングする時間がなくて……」
「うん、そうなんだってね」
あっさりさくらがそう頷くと、新太はびっくりしたように瞳を大きく見開いた。
「知っていたんですか? 俺がプロゲーマーだって」
「カフェテリアで会った私の同級生、いたでしょう、三井くん。彼、格闘ゲームが好きで、新太くんのことをよく知っていたから教えてもらったの。有名なゲーマーだって」
「いや俺、そんな有名なんかじゃないけど……」
新太はため息をついたあと、ちょっと上目遣いでさくらを見上げた。
「授業で会ったとき、どうして俺にそのことを、言ってくれなかったんですか? あの人から俺のこと聞いて知っていたのに」
すこし責めるような、拗ねたみたいな口調に、さくらは驚く。
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