第七章 あふれる想い

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「だって、前になにかやっているの? って聞いたとき、秘密だっていって教えてくれなかったでしょう。だから新太くん自身が教えてくれるまで、言わないほうがいいと思ったから……」  新太は一瞬口を開きかけたものの結局黙ってしまい、しばらくさくらを見つめていた。そして、また激しく咳こんだ。 「新太くん! 濡れた頭でそんな薄着をしていたらダメなんじゃない? 寒くない?」 「……寒くない」  ぶっきらぼうな口調でそう呟くと、掴んでいたさくらの手をぐっと引っ張った。  掴まれた手の強さと急に近くなった距離。さくらは思わず息をのむ。ぎゅっとみつめてくる眼差しはあまりにも強くて、息がとまりそうになる。 「あの人、さくらさんのこと好きですよね?」  淡々としているようでいて、問い詰めるような口調。普段あまりみたことのない様子の新太に驚いてしまう。 「あ、あの人って、三井くん?」  新太が黙って頷く。クールなようにみえて、ひどく熱を帯びたその瞳から目が離せない。     司の言った言葉がふと浮かんだ。 『……見た目はかわいいけど、中身はそんじょそこらの男より、かなりハードに男だぞ、あいつ』  じっとさくらを見つめてくる新太に、その言葉を思い出してしまい、どきりと心臓が音をたてて走り出す。 「手が痛いよ、新太くん」  小さな声で、自分を落ち着かせるためにそういうと、はっとした表情を浮かべ、新太は掴んでいたさくらの手をゆっくり離した。 「……スイマセン。俺、さくらさんに迷惑ばかりかけてしまって。何やってんだろ……ガキで……本当にスイマセン」
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