第八章 恋がはじまる

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「やっぱりな。やっとさくらさんに会えるのか。めっちゃ楽しみ」 「ふざけんな。何、勝手に会うつもりになってんだよ。早くどっか行け」 「やだね。俺も待ち合わせしてんの。チカたちと」 「チカ?! うわー、なんでよりにもよって、チカとここで待ち合わせしてんだよ」 「俺が観たい映画、あいつとあいつの友達も観たいっていうから、一緒にいこうって話になってさ」  チカも付属小学校からの同級生だ。付属生、しかも小学校から一緒だから、男女問わず仲がいい。  ゲームばかりしている新太は、ケン以外とはあまりつるんだりはしないが、付属小からの同級生とあえば一気に昔に戻って、お互い遠慮のないトークが炸裂する。  チカは明るいのはいいが、根っからのおしゃべり。彼女の口からでた話は高速で広がる。新太は場所を移動しようと反射的に立ち上がったが、一歩遅かった。 「うわー、新太だ! 超ひさしぶり!」  その、かーんと響く声に恐る恐る振りかえる。チカと、もうひとり知らない女の子。チカはもちろん、その女の子も興味津々で新太をみていた。 「お前、相変わらずうるせーよ……」  げんなりした調子でそういっても、チカはまるで気にしない。 「新太、すごいよねー! 昔からバカみたいにゲームやってるなーって思っていたけど、いまや人気プロゲーマーだし。友達にあんたの動画みせたら、めっちゃカッコイイ! って言って大絶賛してたよ」 「バカみたいってお前に言われたくないから。それに動画見るならプレイをみろ。俺をみるな」  愛想のかけらもない顔をしてそういうと、チカが大笑いした。
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