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「すごいね。学生なのに自分で家賃や生活費を賄えられるって」
さくらの言葉に、新太はうーんと首を傾けた。
「一応、それくらいの金は稼げているので。けど、プロゲーマーとしてはまだ全然ですけどね」
そういっていつもの笑顔で微笑む新太をさくらは見つめる。
プロとして収入を得て、自活している新太は、親元から大学に通っているさくらよりも、ずっと大人なのではないか思う。本当に彼のことをよく知らないまま、好きになってしまったのだと苦笑する。
「新太くんのこと、知らないことがまだまだありそう」
「じゃあ、なんでも聞いてください」
握っていたさくらの手を、そっと握り直して新太も笑った。
「うーんと、じゃあ家族は? 兄弟はいる?」
「なんかベタな質問ですね」
「駄目?」
新太は目元を緩めて静かに首をふった。
「普通の家ですよ? 父親と母親。あと、さくらさんと同い年の兄貴に、ふたつ下に弟がいます」
「男三兄弟の真ん中! 新太くんっぽい!」
さくらが笑うと、俺ってどんなキャラ設定なんですか、と苦笑する。
「兄弟って三人とも顔が似ているの?」
「兄貴と弟は母親似だから似ていますね。で、俺だけ痛恨の親父似です」
痛恨、という言葉に思わず反応してしまう。
「どうして痛恨なの? 新太くんがかわいい系イケメンなのは、お父さんに似たからでしょ?」
さくらのその言葉に、新太は渋い顔をする。
「かわいいっていうのが問題なんですよ。その元凶が親父です」
「元凶? 新太くんをみていたら、お父さんもきっと素敵な方なんだろうなって思うけど?」
新太はため息をついて、真面目な顔で首を振った。
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