第八章 恋がはじまる

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「すごいね。学生なのに自分で家賃や生活費を賄えられるって」  さくらの言葉に、新太はうーんと首を傾けた。 「一応、それくらいの金は稼げているので。けど、プロゲーマーとしてはまだ全然ですけどね」  そういっていつもの笑顔で微笑む新太をさくらは見つめる。  プロとして収入を得て、自活している新太は、親元から大学に通っているさくらよりも、ずっと大人なのではないか思う。本当に彼のことをよく知らないまま、好きになってしまったのだと苦笑する。 「新太くんのこと、知らないことがまだまだありそう」 「じゃあ、なんでも聞いてください」  握っていたさくらの手を、そっと握り直して新太も笑った。 「うーんと、じゃあ家族は? 兄弟はいる?」 「なんかベタな質問ですね」 「駄目?」  新太は目元を緩めて静かに首をふった。 「普通の家ですよ? 父親と母親。あと、さくらさんと同い年の兄貴に、ふたつ下に弟がいます」 「男三兄弟の真ん中! 新太くんっぽい!」  さくらが笑うと、俺ってどんなキャラ設定なんですか、と苦笑する。 「兄弟って三人とも顔が似ているの?」 「兄貴と弟は母親似だから似ていますね。で、俺だけ痛恨の親父似です」  痛恨、という言葉に思わず反応してしまう。 「どうして痛恨なの? 新太くんがかわいい系イケメンなのは、お父さんに似たからでしょ?」  さくらのその言葉に、新太は渋い顔をする。 「かわいいっていうのが問題なんですよ。その元凶が親父です」 「元凶? 新太くんをみていたら、お父さんもきっと素敵な方なんだろうなって思うけど?」  新太はため息をついて、真面目な顔で首を振った。
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