第一章 出会い

7/7
前へ
/253ページ
次へ
 無意識に手を伸ばして、その柔らかそうな茶髪を撫でてしまう。新太が息を呑むような表情をしたから、さくらも自分がしたことに気づいてはっとした。    初対面の男の子に対して、慣れ慣れしすぎる仕草。恥ずかしくなったさくらは、慌てて手をひっこめた。 「あ、ごめんね。なんだか家の……」  愛犬に似ていたから、なんていったらそれも失礼な気がして言葉を飲みこむ。 「そ、それじゃまた来週ね!」  呆然と立ち尽くす新太の顔を見もせずに手だけふり、急いで出口に向かった。   (私、挙動不審だったよね。変な人って思われていないといいけど)  さくらは歩きながら大きくため息をついて、苦笑いを浮かべた。
/253ページ

最初のコメントを投稿しよう!

250人が本棚に入れています
本棚に追加