第十章 もっと知りたい

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 ピンポーン  部屋の掃除をしていた新太は、インターフォンが鳴って、あわてて玄関に走る。ドアをあけると、スーパーのビニール袋を二つもったうえに、肩に大きな袋をかけたさくらが立っていた。  すぐにその荷物を受け取る。外が蒸し暑かったせいか、前髪が汗で濡れていて、頬も赤い。いつもよりも少し幼くみえるさくらがかわいらしくて、ついみとれてしまう。  さくらがこの部屋にくるのは二度目。あの、ふたりの気持ちを確かめあったとき以来だ。部屋で二人きり。テンションが勝手にあがり、はしゃいでしまいそうな気持ちをなんとか押さえつける。 「さくらさん、なんで買い物してきちゃったんですか? 荷物が重たいだろうから、スーパーで待ち合わせして一緒に買い物しようっていっていたのに」  あえて真面目くさった調子でいうと、さくらは気にもとめない様子で笑う。 「だって、私だけで持てそうだったし。ぱっと買ってぱっと来た方が早いでしょ?」  あっさりそういって微笑むと、お邪魔しますと部屋にはいっていく。細いウェストをきゅっとベルトで締めたブルーのワンピース姿。ほっそりしたその後ろ姿を思わずじっとみつめてしまう。  さくらとつきあうようになって新太にはわかったことがある。女の子とつきあったことがないから、比較のしようがないけれど、さくらは女性としてはかなりさっぱりした性格だということ。  だらだら電話で長話をすることもなければ、メッセージのやり取りも端的でクリア。むしろ新太の方がちょっと物足りないと感じてしまうくらいだ。  
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