第十章 もっと知りたい

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「じゃあ、がんばって作らないとね。新太くん、アレルギーはなくて、キライなものはニンジン、で合ってる?」 「合っています」  ニンジンがキライなんて改めて確認されると、子供っぽくて、新太は気恥ずかしくなる。     けれどさくらは気にする様子もなく、黒いゴムをとりだして、髪の毛をきゅっと後ろにしばり、エプロンをつけた。まるで新婚の奥さんみたいに。そう思ったら目が離せなくなった。 (まじで萌える……)  ぼおっとその姿を眺めていると、さくらが苦笑した。 「新太くんはゲームのトレーニングがあるでしょ?」 「いや、俺、手伝いますよ。包丁とかうまく使えないから、皿を洗うくらいだけど」 「ううん。私も初心者だから、手伝ってもらうと逆に段取りが飛びそう。もっと馴れてきたらお願いするから大丈夫」  これからも作ってくれそうなさくらの口ぶりに、新太の口元も緩んでしまう。 「じゃあ、お願いしてもいいですか。俺、リビングにいますから、何か手伝うことがあったら呼んでください」 「わかった。ちょっと時間かかるかもしれないけど」 「いくらでも待ちます」  本気でそういったら、さくらがふわりと微笑んだ。  リビングにいき、モニターやゲーム機器類に電源をいれる。ウイーンとうなり声をあげてそれらが起動開始する。いすにすわって、ヘッドフォンを耳にあて、コントローラーに手を置く。いつも通りのルーティン。それなのに、甘いざわめきがとまらなくて、なかなか集中できない。 (やるときは、本気でやらないと。集中しろ)
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