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真面目な顔をした新太に覗きこまれた。考えていたことを見透かされてしまいそうで、ちょっとどぎまぎしてしまう。
「ううん。少しぼおっとしていただけ」
「疲れちゃった?」
気遣うようにみつめてくる新太に、さくらは胸に温かいものを感じながら首を振る。
「あさって、内定者説明会あるなあって思い出したの」
慌てて言い繕ったけれど、実際に大手銀行の内定をもらい説明会を控えていた。新太がああ、と呟いて頷いたあと、楽しげに微笑んだ。
「内定のお祝い、考えていますから。ちょっと待っていてくださいね?」
「いいよ、お祝いなんて。新太くんに最初におめでとうって言って貰ったのだけで、すごく嬉しかったから」
内定がでて、誰よりも最初に連絡したのが新太だった。携帯から響いてきた、さくらの大好きな、ちょっと低いクリアな声。
おめでとうございます。良かったですね。お疲れ様でした。包み込むようなそれらの言葉に肩の力が抜けて、就活が終わったんだと実感したのを思い出す。
「いやいやいや。させてください。というか、します」
キッパリそう言われて苦笑する。新太が一回決めたら後には引かないのも、さくらはもうわかっていた。
「でも俺、これから夏休みもずっとスケジュール立て込んでいて、なかなか会う時間が取れないかもしれなくて」
新太が大きくため息をつく。
「そうなの? 忙しいの?」
ちょっと寂しい気持ちを隠すように明るい声で聞いてみる。
「夏休み中ほとんど海外にいることになりそうなんです。アジア遠征で」
「え……」
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