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…辺りは暗く。空が黒くなり始めた頃。 ──1匹の猫が、黒理から出て来た。(人間には暗くて見えないだろうが、グレー系の毛と金の瞳を持ったコラットと言う種類の猫だ。) 猫は背伸びをして、ふわ~っと欠伸をして…闇に紛れて見えなくなってしまった。 「ぁ~…うんしょっと。」 …それと入れ替わりにどこからともなく青年が現れ、しゃがんで店の看板を弄る。 …点灯したLEDに照らされた顔には、灰色の髪と猫耳…ギラリと光る金の目があった。 ──看板の文字は猫カフェ黒理から、“猫バー黒理”へ。 店から漏れる灯りも、眩い金から優しく見守るような淡いオレンジゴールドに。 これから店は、猫好きな大人に依るまったりとした時間が流れる。 ──いらっしゃいませ、ようこそ猫バー黒理へ。── …等と、昼間とは雰囲気を変えてしっとりとナレーションをやってみたのだがどうだろうか?格好良かったならお姉さん張り切った甲斐があったなー!♪ (コロンコロン♪) …コホン。どうやらお客様が来たようだ♪ 黒「ん~いらっしゃい♪おや、ヨウコさんじゃないですか☆御久しぶりです。」 「最近ちょっとねー…仕事変わったり色々あって。」 「それはそれは…当店のサービスが貴女の癒しとなれば幸いです。」 ヨウコ。所謂在宅ワーカーだったらしく、昼夜両方の店を知る常連客だ。 仕事が変わったと聞き、どんな苦労話が聞けるのかと営業スマイルの裏で下舐めずりをする黒店長である。 ヨ「ゎ~アカリちゃん~♪久しぶりぃ~☆」 朱莉(アカリ)。生後2ヶ月ちょっとの三毛猫。言うまでも無いことだとは思うが、性別はメスだ。 「…ミャ~。」 朱莉は少しびくっとして、近くにいたシャルにくっ付く。 「…。」 シャルはいつもと変わらず、クールに動じず、朱莉の顔を軽く舐めて横になった。 「ぁ~♪相変わらずアカリちゃんはシャルちゃんが好きね~♪」 「フー…」 …“シャルちゃん”と呼ばれたメスのロシアンブルーがそっぽを向く。 少しだけムッとした顔で尻尾をバタバタと振り、やがて止めた。 …見た目は変わっても中身は変わらず。無表情でどこかを見つめるクールなシャルだ…♪
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