1速 堕速

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ギャァァァァ....... 海沿いの峠に響く悲鳴は、近くに住んでいる少年の目と耳に人生の目標を作るほどの衝撃を与えた。 「おほぉ〜!」 海辺に建つ駄菓子屋の2階から少年は目の前のS字コーナーを2つの赤い流星のようなブレーキランプを目で追った。 星は少年の顔を赤く照らした。 「ママ!あれほしい!」 この時、動く鉄箱に憧れた少年は野望を持った。「クルマがほしい。」5歳の少年が考えることは単純なことだ。 両親に相談して笑われたのは翌日の話。 その日の衝撃は10年以上経っても色あせることなく、少年は高校生になった今でもクルマという冷たい無機物への愛情は変わることはなく時は流れ10年後。 千葉県 玲舞町 千葉県の端にある玲舞町、とあるアパートにて高校生の坂先夏央(さかざき なつお)は家族4人で暮らしていた。 「雪すげぇ!」「ナツ!家に居るなら洗濯物取り込んじょってよ!」 宮崎弁 豊中訛りのきつい母の一声にしょぼくれるナツオは高校1年生になった。 進学のため、宮崎県の南部青島から関東地方の玲舞町に引越した彼の家族は、父母弟の四人家族の長男である。 「ナツ〜私寝るから学校サボったらダメよ。もう高校生なんだから自分のことは自分でしなさい分かった?」 「ほいほい」 「『はい』 は1回でしょ。もぉ.......冬次のご飯も作ってって言ったのに〜」 「はい じゃないです『ほい』です!」 次の瞬間ナツオの頭に鈍い衝撃が走る。 「冬次起きろーかぁちゃんがブチ切れてんぞー」 頭にターバンのように包帯を巻いたナツオは、気だるそうに弟のトウジを起こしに来たナツオはトウジの部屋の扉を激しく開けた。 「んー... 」 「起きろー俺が怒られるぞー冬次」
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