39人が本棚に入れています
本棚に追加
『メタフォル』
雨に濡れた路面には
ただ静かな水溜りがあるのみ
砂利を濡らし、堤防を濡らし
遠浅の海を叩いた雨の名残には
ただ静かな水溜りがあるのみ
割に合わない言葉なら要らない
汗滲む労働の帰りには
ただささやかな風が吹くのみ
のぼり旗がひらり、イトトンボがふらり
陽の滲む労働の帰りには
ただささやかな風が吹くのみ
間延びした言葉なら要らない
朝の陽ざしが変わらずあるから
人々は言葉を失わないのだ
夜に音が沈んでいくのも同じ
ただいつも同じ言葉が欲しいだけ
最初のコメントを投稿しよう!