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『ヴィラネルの夜』 夜明けを待つだけなら素直に寝なさい あなたに出来ることはもうなにもないから 永遠を望んでも時は止まりはしない 新しい夜だと逸るほど その錠剤は夢を暴くから 夜明けを待つだけなら素直に寝なさい 正しく刻んでいるから耳につく針の音 言葉の出る幕はない、次の台詞は朝 永遠を望んでも時は止まりはしない 甘い飴玉ほどかなしく溶けるもの ふと膝小僧に忘れていた過去の痣 夜明けを待つだけなら素直に寝なさい 朝になればどうせ何時ものまともな音 今宵もまた同じ、死んだ記憶なのだから 永遠を望んでも時は止まりはしない 悲しさも哀しさも、愛しさも傍に来たのは月のもと あなたの影が日なかのものとは違うから 夜明けを待つだけなら素直に寝なさい 永遠を望んでも時は止まりはしない
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