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『ユリイカ』 もの言いたげにずぶ濡れのスニーカー 継続する雑音は習慣が排除するから 常に静寂に見える雨 人々は去り際に影を手放して 姿だけは皆同じに見えている 記憶の澱を揺すっている午前中の会話 この気持ちにはもう名前がついているから 溢れないことは知っている コンビニの傘立てに手放して 空調で情緒を乾かした 人に合わせるのは嫌いだ 言いたいことが言えないなら黙る 傷つけるのは分かっていても 別にいいやと振り下ろすこともある 滑らかに笑う友をたまに羨んだ ふるまいを選んだのはお前だと言われたら 雨が裾をいつも以上に濡らすのも 歩調のせいと水溜まりに踏み込む帰り道
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