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「乾いた服を出しておくぞ!」
馴染みのおっちゃんの、その声に私は癒される。
しかし、そこにあったのは、私のスーツではなかった。
来たか!ブラックファントム!!
つづらが二つ用意してある。
どちらかが当たりというわけか。
ルールを理解した私は、右のつづらを選択した。
なぜか?失敗したらやり直しが利くから?ちがう。人間の行動原理だ。
ふたを開けると、当たりだったようだ。黒のスーツが入っていた。
ただ、ぱっつんぱっツンに縮んでいたのだが、これはどうやら、ブラックファントムの仕業らしい。もう片方のつづらには、星条旗のような派手なロングシャツが一枚入っているだけだった。
「おっちゃん!ブラックファントムがいるようだ!」
「なに、子供のような格好をしておる。イメチェンか?」
「ブラックファントムにやられたんだ!」
「イメチェンの時期だ。もしかしたら、コナン君になれるかもしれないぞ!」
おっちゃんのユーモアには参ったぜ。おっちゃんがファントムなわけがない。出直すきっかけを作ってくれたんだ。ひとまず、恥をさらして、家に帰ろう。代わりのスーツは自分で手に入れろと言うわけだ。
ぱっつんぱっつんの俺は、いま、昼の商店街を歩いている。
見てろよ、ブラックファントム!この恥辱は、必ず返す!
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