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……それはそんな面接の最中の出来事だった。
「「いらっしゃいませー!!」」
いつものように元気にお客さんに挨拶をした
……のがいけなかったらしい。
「うるっさいわねぇ、大きな声出さないで頂戴!」
入ってきたおばさん(多分50代後半くらい?)にいきなり文句を言われた。
「あ、すみません」
ちょっと煩かったかな?と思い、すぐさま謝った。
……のだが。
「謝って済む問題じゃないでしょ! 鼓膜が破れたらどうしてくれんのよ!?」
──……はぁ?
何言っちゃってんの、このババァ……。
こんな挨拶程度で鼓膜が破れるわけないだろ??
ちなみに私と榊くんの声を合わせても、別に普通のコンビニの店員さんが挨拶をするのとさして変わらない大きさの声で、元気に挨拶をした、と言ってもラーメン屋さんとかみたいに大人数で「へい! らっしゃい!!」って叫んだわけではない。(それでも鼓膜は破れない。そんな話聞いたことない)
ババァは何かぶつぶつ「あぁ、もうお陰で耳鳴りが止まんないわ」とか言いながら買い物を始めた。
いや、あれで耳鳴りが止まらないって、どんだけ良すぎる耳してんのよ。
何か色んな理不尽さにちょっと腹を立てつつも、榊くんと苦笑いを交わしてから、お互いの作業を始めた。
しかしすぐに、
「何なのよ、このお店は!!」
ババァの悲鳴に似た怒声が聞こえてきた。
どうしたのかとババァの方を見ると、片手にはカゴ。
「何でこんな小さなカゴで買い物しなきゃなんないのよ!」
…………。
……はい?
えっと、またちなみになんですか、うちのカゴはそこらのスーパーに置いてあるカゴとさほど変わらない大きさのカゴ。
あれが小さいって、普段どんだけ大きいカゴで買い物してるんでしょうかねぇ……。
そして、私はこの時察した。
──あれは、通称クレーマーババァだと。
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