13人が本棚に入れています
本棚に追加
1.酔っぱらい事件簿!?
「いらっしゃいませ~!」
──私の名前は篠原友里。大学2年生。このACマートのアルバイト店員。
今日も一日頑張って働くぞ!!
私が気合いを入れる為にガッツポーズをすると、隣から
「気合い入ってるなぁ、篠原サン?」という声が飛んできた。
私は隣に立つ人物にチラリと目をやった。
「店長はいつも通りやる気無さそうですねぇ」
「何言ってるんだ。俺はいつもやる気十分だぞ?……じゃ、休憩行ってくるわ」
「今出勤したばっかですよ!?やる気ないじゃないですか!」
この隣でやる気ゼロで立っているのは、店長の島田涼店長。35歳。
「おい。何年齢までバラしてんだ」
「あ、聞こえてました?いいじゃないですかー。店長の年齢なんてみんな興味ないからすぐ忘れますよー」
「なら、余計言う必要なかったんじゃねぇか!」
あー、うるさい。無視無視。
「無視すんな!!」
とにかくやる気ない&煩い店長だが、ガンプラを集めるために働いているらしい。
……やる気のない理由だなぁ。
「何言ってんだ。宇宙一最高な理由じゃねーか」
「地獄耳!? ……っていうか、宇宙一やる気ない理由の間違いじゃないですか?それより、あのボロアパートを脱出する方が最高だと思いますよ?」
「学生寮に住んでる奴にボロアパートどうのこうの言われたくねぇよ」
「学生寮でも店長のあのボロアパートよりは立派です!」
「んだとコラ!?」
一度、店長がケータイを店に忘れて行ったので私が届けに店長の家まで行った事があるのだが……その時に衝撃を受けた。
店長が住んでいるのは木造2階建ての2階のワンルームのボロアパート。その広さ、10畳。
古びて変色した畳は店長が歩く度にギシギシと音を立てて今にも抜けそうだった。
あれをボロアパートと呼ばずして何と呼ぶ。
ちなみに肝心(?)なガンプラは十畳の部屋に所狭しと並べられている。
たぶんあの部屋には布団とちっちゃいちゃぶ台とガンプラしかない。
「もっと広い部屋に住めば、ガンプラをもっと置けますよ?」
「ぐっ…」
「店長秘蔵のDVDももっとまともに隠せますよ?」
「てめっ……その事は掘り返すなっつったろーが!」
「えー、だって堂々とあんなものやこんなものが置いてあるんですもん~。まさか店長にあんな趣味が……」
「……お前、クビな」
「うわー、パワハラだー!」
……と、まぁ、いつもこんな感じで仕事してます。
最初のコメントを投稿しよう!