アマネ【その一】

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「っさい。今度は耳を狙うわよ?」 「……お嬢はお母さんに似てきましたね」 「…………」 私は口を開かない。 何も答えず“鬼堕ち”の女に目線を向ける。 「彼女を束縛しても興奮しないが、お嬢の命令だ。君の攻撃を削がせてもらう」 言ったリクヤは釣糸を引くような仕草をした。 瞬間、“鬼堕ち”の女の右腕が落ちた。 しかし血は噴き出さない。 それだけリクヤの“霊糸”は鋭く、切断した断面は鏡のようにスベスベなのだ。 ……攻撃が得意ではない? 冗談だ。 流石は“天才”と言われるだけのことはある。 私の“霊符"でもこうも鮮やかな切口はできない。 彼女に腕が切断したことを気づかせないくらいの鋭さ。 ――ギッ……。 “鬼堕ち”の女はあるべき場所に右腕がないことを目にいれてしばし固まる。 そして―― 「っあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛!!!?」 彼女から絶叫があがる。 「ごめん。今から殺してあげる」 冷たく告げ、私は“霊符"をかざす。 「――刃よ――」 “霊符"から光の刃が伸びる。
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