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罪食らう罪
朝から変わらぬ曇天。日暮れまでの間隔を惑わせる。
辺鄙な平原に敷かれた街道には白い花をつけた樹木が並んでいた。地表で冬を越した暗褐色の実があちこちで散らかって腐っている。走り抜けた馬車が実をすり潰し、道を汚していった。林にあっては花に因る臭いが耐えがたくて気が立つ。近づいてくる行列へと意識を強いる。
一介の商人の車にしては伴う護衛の数が多い。余程の得意客への品か、王族への献上品か。御者台に座る商人の眼光はたぎり、手綱は固く握られている。常々、彼らは一欠片のゆとりも持ち合わせてはいない。
一行を追って、風が並木の葉を震わせたが、蹄の音に断ち切られた。濁った陽光は移る輪郭を捉える目を鈍らせる。
馬が跳ね、嘶いた。一人、二人と傭兵が振り落とされた。車は未だ、進み続けていた。騒ぎに振り返った商人は手綱を引き寄せ、車を止めた。商人には正体を察しきれず、木立がつくる陰にばかり気を取られていたが、呻き声に向き直った。馬に置き去られた傭兵隊が全て、路上で伸びている。商人は狂乱したらしい。奇声を上げながら馬車を飛び降り、荷台の中へと駆け込んでいった。覆いを雑に捲り上げて、積み荷に抱き着こうとしたが腕は空を切る。
彼は天を仰ぎ、肩を落とす。活力が涸れ果てていた。
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