K~キング~

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 『とりあえず、駅までは送らせてもらうから、今日は早めに仕事を切り上げてね。  それから、キミは今日一日 鴻野山さんと行動するように。外回りは式部さんに同行してもらうから』  あの後、秋津にそう言われて業務開始となった。   「意味分かんない」 「安心して下さい。私はもっと分かりません」  営業が店舗周りに行く際、資料として持って行く書類データのチェックをしながら呟くと、鴻野山が横で淡々とそう言及する。  まぁ、それも尤もな話だった。というか・・・ 「悪かったわね。っていうか、アンタの親分気取ってるあの子は平気なワケ?」 「そうですね。後のことを考えると面倒ではありますが、いない方が心身の健康のためには良いです」  いやいや・・・ 「結構言うわね、アンタ」  いくらなんでも正直すぎるであろう後輩の辛辣な一言に呆れていると、彼女はおもむろに溜め息を吐いた。 「普段、明らかに罰ゲーム的な役割を担っているんですから、これくらい許されるでしょう?」  尤もな話だ。
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