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手中にある髪を軽く引き、彼女の耳元に唇を寄せる。
「家においでよ」
「ーっ」
肩を震わせた後、それでも何か言いたそうな表情でこちらを見ると、彼女は口をつぐみ秋津の腕を掴んだ。
「・・・分かりました。ただ、土日は私も行くところがあります。
それでもいいですか?」
「いいけど、それって俺も行っていいヤツ?」
「・・・困ります」
「えー?俺が目を離した隙に、何かある方が困るよ」
「ーっ。分かりました」
観念したかのように、彼女は渋々といった調子で溜め息を吐いた。
「午後、昼食を食べたら出かけましょう」
「了解。ここで生活するなら、着替えもいるだろうしね」
「・・・」
心なしか楽しみになり、ついつい浮かれる秋津を見て和泉は憂い気な表情を見せる。
大丈夫だよ。守るから
そんな思いと共に頭を撫でると、彼女はぎこちない笑みをこちらに向けてくれた。
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