J~ジャック~

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ー時は数時間前に遡る 「そう言えば赤羽さん、オムライスの作り方は分かる?」 「ええ。チキンライスを卵でくるめばいいんですよね」 「よかった。じゃあ、買い物には僕がいなくても平気かな」  そう言って秋津は時計を見る。  この様子だと、ゆっくりしていられる時間はそうないということだろう。  やれやれ 「ハイ。買い物には茉莉果と行きますので、仕事があるのなら遠慮せずに戻って下さい」 「悪いね。じゃあ、二人はゆっくりしてから戻っておいで。  あと、おつりは今晩の材料費ということで」  そんなことを言いながら、秋津は財布から五千円札を抜き出して置いた。 「ゴチソウサマでーす!」  そうはしゃぐ茉莉果に倣い頭を下げると、秋津は和泉の髪を一房掴む。  ・・・ 「君を食べられるのはいつになるだろうね」 「来世くらいじゃないですか?」  そう言って残念そうに髪に口づける秋津に、和泉は冷めた目線を贈った。
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