J~ジャック~

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 その後行ったスーパーでは、当然の如く茉莉果がはしゃいでいた。 「いやぁ、素敵だったわ。課長」 「ああ、そう」  冷めた反応を返して、和泉は冷凍食品のコーナーに歩を進める。 「ちょ、ちょっと」 「何?」  制止の声をかけられて、何事かと振り向くと驚いたような顔の茉莉果がいた。 「何じゃないわよ!肝心の中身を冷食に頼るつもり?」 「家ではいつもこれだけど」  当然のように返すと、露骨に溜め息を吐かれた。 「とりあえず、今回は冷食はナシ。パック米でいいから、買うわよ」 「え~?!」 「因みにアンタ、チキンライスの作り方は分かる?」 「えっとぉ・・・」  途端に小さくなっていく和泉の声に茉莉果も答えを察したらしい。 「分かった。アンタは何もしなくていいわ」  そう結論付けると、茉莉果はパック米のコーナーに向かった。
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