J~ジャック~

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「まさか、アンタがそこまで女子力に乏しいとは思ってなかったわ」  そう言うと、茉莉果は和泉が火を着けたコンロをチラリと見る。 「そんなに強火でやってるから焦げたんだと思うわよ。このコンロ、火力は強いみたいだから、中火で充分」 「・・・」  何やらいたたまれない気分になりながら、和泉はツマミを回した。 「因みに和泉って、実家暮らしだっけ?」 「まぁ」 「今からでも遅くないから、お母さんに教えてもらった方がいいと思うわよ。コレ」  そう訴える彼女の視線の先には、真っ黒に焦げた鶏肉の残骸がある。  和泉は溜め息を吐くと、それをキッチンペーパーに包んで捨てた。 「とか言われても」 「?」 「料理とかできる状態じゃないからね、ウチの母親」  そう言って溜め息を吐くと、流石の茉莉果も固まる。 「・・・何かワケアリ?」 「昔飲んだ薬の副作用か何かで、脳に障害が出ちゃったのよ。だから、長いこと料理なんてご無沙汰」 「はー。成る程。  ・・・って和泉、フライパンは一回洗った方がいいわよ!」  至って普通を装いながら、フライパンに継ぎ足す油を手に取ると、茉莉果から目ざとい制止の声がかかった。
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