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「うーん。まぁ、一応合格点かな」
今までにできた中での奇跡の最高傑作をそう評し、茉莉果は呟く。
というか、彼女は結局最後まで口を出すだけで手を出してはくれなかった。
多少の恨みがましさと共に彼女を見ると、視界の端に時計が映った。
時計の針は八時前を指している。
・・・
「大分時間も過ぎちゃったわね。早く持って行ってあげたら?」
そう言いながら、彼女は生ゴミを片付けてくれている。
「・・・ありがと」
「いいから、早く行きなさい」
そう言うと、彼女はいつの間に作ったのかインスタントのわかめスープが入ったカップを添えて、オムライスの乗ったトレイを差し出した。
「失敗作は私の夕飯にしておくから、ここには戻って来なくていいわよ」
「・・・何から何までどうも」
少しだけ情けない気持ちになりながらも、明るく笑う彼女に見送られて給湯室を後にした。
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