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「・・・結構です」
「遠慮しなくていいよ。おいで」
そんなことを言われても、今となってはその笑顔が胡散臭い。
「私はもう帰りますので」
「そうなの?じゃあ、上司命令」
その一言が和泉の後ろ髪を引っ張る。
「・・・職権濫用です」
「何とでも」
そう宣った秋津を睨み付けながら、和泉は秋津の傍に向かった。
「来た来た。はい、あーん」
和泉が来ると、秋津はスプーンを口元に持って来る。それでも、どうしたものかと躊躇う和泉に彼は含みのある笑みを見せた。
「食べないなら、口移しっていう手もあるけど?」
「は?・・・」
反論をしようと開いた口に、オムライスを差し込まれる。
・・・
「美味しいでしょ?」
満足気に笑う秋津に返す言葉などなく、ただただ和泉は首を縦にふった。
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