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怒りに任せてお茶のペットボトルを開け、喉を鳴らして嚥下する。茉莉果は、目をしばたかせてそんな和泉を見ていた。
「何?」
「いや、びっくりしただけ。だって、今までの和泉だったら、秒速で断ってたでしょ」
「ああ、そういえばいたわね。そんな業務外のことに頭使ってる連中が」
そして、そういう人間に限って使えなかったりする。よくもまぁ、と半ば呆れの感情を持って彼らを見ていたことを思い出した。
すると、呆れたように茉莉果の溜め息が聞こえる。
「・・・そういう認識の殿方に比べたら、課長はいいセンいってると思うよ。
しかもさっきの言葉って、課長のことが好きとも聞こえたし」
「ーっ」
そう、なのだろうか。首を傾げると、茉莉果はやれやれ、と呆れたような溜め息を吐いた。
「課長も可哀想に・・・。
まあ、相手が恋愛音痴を拗らせちゃった和泉だしねぇ」
「・・・」
流石に、返せる言葉はなかった。
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