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私は二人を抱き抱えて、外に出た。
「ポチも来るといい」
「司狼様、どこに行くの?」
私の後をポチが付いてくる。
「ポチと初めて逢ったところだ」
そこは私が5才でポチは生まれたばかりの赤子だったときに出逢った場所、そこは偶然にも7年前に再会した大狗の食料庫跡地だった。
それに気付いた6年前、私はそこに桜の木を植えた。
その季はまだ小さいが、花をつけていた。
「父上、桜だね?」
「誠也はよく知っているな」
「愛助も知ってるもんっ」
「愛助も賢い」
「僕も知ってるよ!!」
「……ポチは大人だから、知ってるだろう」
自分の子供と張り合っているのが可笑しくて、私は笑ってしまった。
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