1115人が本棚に入れています
本棚に追加
/134ページ
「下らない……」
……泣いたところで起こってしまった事は何も覆るわけでもないのにと、頭を振ってベッドから起き上がり、病室の外に出ようとした。ガラリとドアを引くと、そこには警官が立っていて、
「目覚められたのですか?」
と、訊かれた。
「ああ」と頷いて、気分転換のつもりで「ちょっと屋上に行く」と言い置いて、廊下を歩き出そうとすると、
「いけません」と、身体を止められた。
「病室からは出ないよう、出してはいけないよう言われています」
肩を掴まれ、そう告げられた。
「出しては……いけない?」
その引っかかる言い方に聞き返すと、
「……すいません、そういう命令です。それと、ここは閉鎖病棟ですので、許可無く外には出られません」
と、恭しく頭を下げられた。
最初のコメントを投稿しよう!