第1章 プロローグ
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第1章 プロローグ
自然の多い、山に面した療養所。 今日も待ちぼうけの兄に会いにやって来た。 いつの間にか伸びたその髪の毛は窓から入る光にキラキラと輝いて。 「やあ、はやかったね」 「起き上がってていいのかよ、また怒られるぞ」 「……ねえ、お手紙は来た?」 「いや」 そう言っただけで兄の表情は曇る。 それはここにいまいない、唯一の男を求めて。
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