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「どうしたの?」
グレーの瞳が、オレを覗き込む。
「…リハビリでさ、なんかキレちゃって。…頑張れ頑張れ言われて、目一杯なんだよ。」
「ふぅん。ナオヨシちゃんは、自分を否定されてご立腹なんだ。」
「なっ?!ナオ、だ。昔の母さんじゃあるまいし、妙な呼び方するなよ!」
「クスクス、ごめんねぇ。で、ナオは皆に理解されたくて怒ってんの?」
「……あんた、性格悪い?」
「うん、よくそう言われる。それと、私は“あんた”じゃなくて“さ・く・ら”だから。」
初めて逢ったとき、大人しそうで優しそうで…勝手に女の子らしいイメージを膨らませていたオレは、彼女と直接話して面食らっていた。全然、見た目と違ってる。ある意味詐欺だ!
「クスクス…ね、他人(ヒト)に何言われたっていいじゃない。怪我人なんだから、少しくらい頑張らなくてもいいんじゃない?」
「え?」
「一生懸命やってるの、私は知ってるよ。ナオは気付いてなかったみたいだけど、私は見てたからね。」
「サクラ、よく病院に来てたんだ。」
「…うん。」
「?」
一瞬、妙な間があったような?首をかしげたオレをサクラは、微笑みながら見つめていた。
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