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…──身体が、重い…。
「……オ……。」
…何か、聞こえる?
「…ナ……オ……──。」
オレ、呼ばれてるのか?
今は、昼だろうか?夜だろうか?こんなにも世界が暗いのは、何故だ?
…──そうか、瞳(メ)を閉じているせいだ…。
「…にい…ちゃ…──。」
この声は、妹の紗江(サエ)だな。ああ、眼を開けないと。瞼が、重い…。
すうっと一筋の光が射すように、オレは、暗闇から目を覚ました。
「ナオ!」
「お兄ちゃん!!」
「おい、医者(センセイ)を呼べ!ナオ、大丈夫か?」
「……──なに?オレ、ここで…なにして?」
「お兄ちゃん、憶えてないの?」
オレには、妹の言っている意味が解らなかった。家族が揃っている訳も。ただ、見慣れない白い部屋に入れられているオレは、身体中がバラバラになるような痛みに襲われていた。
『憶えてないの?』
…──ああ、何があったって言うんだ?憶えていない。いや、思い出せない。落ち着け、オレ。だいたい、今日は何日なんだろう?隣町の高校でバンド組んでる知り合いが、ギターやってた奴がメンバーから抜けたから一緒にやらないかって誘われてるんだ。こんな所で寝てる場合じゃ…──?
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