†紅い服のキミ†

2/6
前へ
/39ページ
次へ
…──身体が、重い…。 「……オ……。」 …何か、聞こえる? 「…ナ……オ……──。」 オレ、呼ばれてるのか? 今は、昼だろうか?夜だろうか?こんなにも世界が暗いのは、何故だ? …──そうか、瞳(メ)を閉じているせいだ…。 「…にい…ちゃ…──。」 この声は、妹の紗江(サエ)だな。ああ、眼を開けないと。瞼が、重い…。 すうっと一筋の光が射すように、オレは、暗闇から目を覚ました。 「ナオ!」 「お兄ちゃん!!」 「おい、医者(センセイ)を呼べ!ナオ、大丈夫か?」 「……──なに?オレ、ここで…なにして?」 「お兄ちゃん、憶えてないの?」 オレには、妹の言っている意味が解らなかった。家族が揃っている訳も。ただ、見慣れない白い部屋に入れられているオレは、身体中がバラバラになるような痛みに襲われていた。 『憶えてないの?』 …──ああ、何があったって言うんだ?憶えていない。いや、思い出せない。落ち着け、オレ。だいたい、今日は何日なんだろう?隣町の高校でバンド組んでる知り合いが、ギターやってた奴がメンバーから抜けたから一緒にやらないかって誘われてるんだ。こんな所で寝てる場合じゃ…──?
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

29人が本棚に入れています
本棚に追加