†紅い服のキミ†

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3日後、ようやくベットから降りることを許されたオレは、母親に車椅子を押してもらい、初めて病室を出た。 「向こうにあるデイルームに行ってみる?見晴らしがいいのよ。」 「うん…。」 気のない返事を返す。久し振りに長時間(といっても、まだ10分くらいだが)起き上がっているだけだったが、辛い。 デイルームは、明るい陽射しが眩しく射し込む見晴らしのいい場所だった。ここが5階だということもあり、景色もいい。窓際に車椅子を止める。 「しばらく、ここに居る?」 「うん…。」 「じゃあ、母さんちょっと洗濯機に洗濯物ほおりこんでくるわ。」 そう言って、病室へと駆け出して行った母。ここに入院してから、ずっと付き添ってくれている。仕事だってあるはずなのに…最近は、母親と余り話すことも無かったな。 ふと、デイルームの奥にある家族控え室に目をやった。畳の敷かれたその部屋は、母も身体を休めるとき使っていると話していたことがあったが、そこに、1人の女性がいた。
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