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「…頑張れって、毎日頑張ってんだろ?!オレのどこが頑張ってないんだよ!好きで毎日寝てるとでもいいたいのか?!自由に動けたら…痛みが無かったら、オレが寝てる訳ないだろっ!これ以上、どう頑張れってんだ!!」
怒鳴られ、予想外の事にたじろぐおばさんを前に、オレは睨み付けるとその場を後にした。本当は、駆け出したい。でも、今の自分には、はや歩きが精一杯だった。
「誰も、好きで入院した訳じゃない!オレが、何したってんだ!!」
携帯電話を使えるようにと作られた狭い部屋の中で、オレは叫んでいた。
オレの気持ちなんて、誰も解ってない。いや、解らないだろ!
キィ。
「クスクス、外まできこえてるよ。」
突然開けられたドアから顔を出したのは、この前の彼女、“桜”だった。
「あ。」
「荒れてるねぇ。どうしたの?」
「ちょっと、色々あってさ。」
「へぇ?良かったら、話し聞いたげよっか。隣、座っていいですか?クスクス。」
今日も、鮮やかな赤色の服を着た彼女は、余っている椅子のスペースを指差して言った。
「別にいいけと。」
そう言って、オレは席を左に詰める。隣に、チョコンと彼女が座った。
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