†間章† 接死、狭間に生まれし命

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††††††††  ──どこから間違えていたのか。  思えば、人と吸血鬼の混血種であるという羽間澄輝(ハザマトウキ)の記憶には、ない。  海外勤めの学者で行方不明だという父の顔が。澄輝の誕生と共に死んだ母の名が。  そして、今年三月以前の記憶が。  言われるまで分からなかった。そうだ。これが当たり前だと思っていた。  しかし、澄輝が他の人間と違うというのは、明白だった。  単なる記憶喪失か。それとも──。  知識はある。父に関する情報。母に関する情報。そして、地元の学校からの友人に関する情報。  しかし、それは知識であって記憶。この場合、思い出ではない。  認めてはいけない。それでも、この状況は語り掛ける。  羽間澄輝というモノの生は、今年三月より始まったのだ、と。  いや、そんなはずがない。それならば、どうやって生まれたというのか。  月の綺麗だったあの夜、買い物袋片手に澄輝は生まれた、なんてあり得ない。ナンセンスだ。  不安が強く、疑問が強くなるたびに、思考が否定材料を探す。
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