そして仔猫は生まれた

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ある場所に仔猫が居ました。沢山いました。  五匹ほど居ました。薄い赤毛に茶色い模様が入った、まんまるの顔をした仔猫達が居ました。みんな、外見がとても似ていました。 …そしてその中の一匹が、 ふと、気づきました。   …ここはどこなんだろう。   見上げてみると、そこには初めて見る"色"がありました。 一面の、鮮やかな青でした。 …それは空でした。 雲一つ無い、青空でした。しかし仔猫には"空"という名前の存在を知らなかったので、ただ漠然と、見たことの無いものだな、と、思いました。   チュンチュン、チュンチュン、と、どこからか不思議な音がします。仔猫が見ていた空を何かちいさなものが横切って行きました。   違うなぁ、 と仔猫は思いました。   自分はなぜこんなところに居るんだろう。   意識が目覚める前は、仔猫達は薄暗くて、そしてとてもとても暖かい場所に居ました。
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