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「こういう場合は、速やかに教室に入りその扉を閉めるべきではないかね?」
桜は心臓が飛び出るかと言うほど驚いた。
「神崎桜、如月春花。二人とも遅刻だ。他の生徒は、全員来ているぞ。はやく、席につけ。」
教室の教壇に立つ一人の男が、無表情な顔でこちらを見ていた。黒のスーツをタイトに着こなし、眉一つ動かさないその男は、状況から判断するに、F組の担任であることは明白だった。
まるで石のように固まってしまった桜を見て、男は眉を潜めた。
「どうした。はやく、教室に入らないか。」
「え…あぁ、は…い。」
「遅れてすみませんでした~。」
少女こと春花は動じることなく教室に入ってゆき、桜もその後に隠れるようにつづいた。
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